「ウッドショック」とは?――住宅業界を直撃した木材価格高騰の実情を徹底解説!
2021.07.26
「ウッドショック」とは、2021年に入ってから起こった、輸入木材の不足による急激な価格上昇の事態。
特に一戸建て住宅や木造アパートを手がける会社にとっては大きな原価増になり、建設業界全体に大打撃を与えました。
今回の記事ではウッドショックについて、最新の情報も交えて解説します。
(今回のポイント)
①ウッドショックで住宅価格は高まり、着工戸数は減っている!
②建築業者の生き残り競争が激化する!
③いまこそ「お客さま第一主義」の原点に立ち返り、追求すべし!
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ウッドショックとは?
まずは、日本の建設業界を激震させた「ウッドショック」の概要を説明しましょう。
・ウッドショックが起こった理由は?
世界的に木材が不足したウッドショック。その大きな発生原因としては、次の2つが挙げられます。
1. 米国で近年、ミレニアル世代(=1980年〜1995年の間に生まれた世代)の需要による一戸建て住宅の建築件数が増えていた。 くわえて、住宅ローン金利が引き下げられ、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの浸透で郊外志向が高まり、住宅需要が爆発的に高まった。
2. 中国がいち早くコロナ渦から脱して景気回復が進み、産業用木材の需要が急激に高まった。
これらは、日本国内の建設業界にも大きな影響を及ぼしています。
まず、海外での木材需要の増加の煽りを受けて、スギやベイマツ、ヒノキなど、大手ハウスメーカーなどが多く利用する輸入材の価格が高騰。
輸入材の価格は半年間でそれまでの1.5倍にも上昇し、さらに国産材もそれに引っ張られる形で価格が急騰。
今後の木材価格は、以前の約2〜3倍になるとの見通しも出ています。
・すでに木造住宅市場に影響が!
木材の調達費用というのは、住宅建築費用のうち非常に多くを占めます。
すなわち、木材価格の高騰は住宅メーカーや工務店にとって深刻な原価増となりますが、それがすでに住宅価格に跳ね返ってきているのです。
2021年6月には、積水ハウスや大和ハウス工業など業界トップクラスのハウスメーカーが軒並み値上げを発表。
値上げ幅の平均は一戸あたり約数十万円ですが、なかには40〜50万円値上げしたケースもあります。
今後は、中小の注文住宅会社なども追随して価格を上げるのは間違いないでしょう。
さらに、価格上昇の一方で、2021年度上期の住宅着工戸数は前年から約14%下振れし、戸数では約6万戸も減少する試算が出ています。
原価高騰にくわえて着工戸数も減少し、住宅業界にとってはまさに緊急事態というべき危機的な状況が訪れているのです。
・建築会社が生き残るには?
そもそも近年の日本では、木造住宅の着工件数は年々減少していました。
そこへ今回のウッドショックが起こり、住宅価格が高騰。すると当然、施主の判断もより慎重になり、需要がますます減っていきます。
今後は木造住宅の着工件数がさらに加速度的に減少することが見込まれますが、そのような状況下では業界全体が熾烈な競争状態に陥り、「施主から選ばれる業者」だけが生き残るでしょう。
すなわち、今後は住宅のデザイン性や機能性のみならず、事故のない施工体制やトラブルが起こった際の対応力など、あらゆる面でクオリティの高い業者だけが施主から選ばれることになります。
そうした状況において生き残るために最も重要なのは、家づくりにおける「お客さま第一主義」をあらためて徹底することです。
現在でもすでに「お客さま第一主義」を掲げる会社は多いと思いますが、はたして本当に「お客さま第一主義」を徹底できているか、現状の施工体制を厳しく見直し、より上のレベルを目指す取り組みが、ウッドショックという危機下においては大切なのです。
こうした見通しは建築業者だけでなく、基礎工事や外構工事の業者についても同様です。
なお、ウッドショック下で注文住宅やリフォーム工事といった施主と工期を約束する工事を請ける場合、材料不足による工期遅延を想定して契約書に盛り込む必要があることには、注意が必要です。
国内の林業への影響は?

ウッドショックは、海外からの輸入木材を使う住宅会社だけでなく、国産木材の製材メーカーにも影響を与えているのです。
・需要は旺盛だが、生産が追いつかず・・・
海外産木材が確保できないため、国内木材の需要は激増しています。
「製材メーカーは大量受注が発生して大儲けだろう」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。
大量に受注が来たとしても、メーカーの生産能力には限りがあるからです。
くわえて、森林というのはいきなり大量に伐採することはできません。
ここで悩ましいのが、メーカーが生産力を上げるための投資を決断しても、一時的な特需ともいえる国産材需要が今後も続くのかどうかわからないという問題です。
生産力を上げるために多額の資金を投じても、翌年以降は例年どおりの受注量で、投資しただけ無駄に終わる恐れもあります。
実際、受注が急増した多くの製材メーカーは、既存の得意先に例年どおりのなんとか納品量を確保するのに精一杯。
特需の恩恵を受けているとはとてもいえない状況なのです。
・今後の木材市場の行く末は?
ウッドショックが収まってからの住宅・不動産市場と木材市場を占うカギを握るのは、国産木材が住宅建設でどれほど使用されるようになるのかということです。
過去の住宅業界は、「輸入材でコストを抑える」というのが常識でした。
しかし、ウッドショックで急きょ多く活用された国産材の品質が評価されれば、ウッドショック収束以降も国産材を用いる業者が増えるかもしれません。
長期的に国内材のシェアが増えれば、製材メーカーも潤います。
そうした状況になれば、製材メーカーとしても、増産のための投資を決断しやすくなります。
住宅の値段は値上がりしたまま落ち着くかもしれませんが、「輸入材に頼った現在の価格が安すぎた」という見方もできます。
今年のウッドショックは、住宅業界を長期的に変える大きなきっかけになるかもしれません。
まとめ

ウッドショックによって住宅関連業界が大ダメージを受けていますが、新型コロナウイルス感染拡大の行く末が見えないなか、ウッドショックもまた収束する見通しが立たない状況にあります。
繰り返しになりますが、ウッドショックにより「選ばれる」建築業者とそうでない会社がはっきり分かれ、品質の低い業者が衰退していくのは間違いありません。
この未曾有の危機をひとつのきっかけとして、各社は施工品質の強化に努める必要があるのです。
著者:小飯塚隼人(こいづか・はやと)
1983年生まれ。前職は大手損害保険会社にて代理店の営業推進を担当。「お客さまに一番近いところで保険を提案して、もっと喜んでもらえる仕事がしたい」との思いから、万が一のさいは保険でしっかりとお客さまを守る保険ショップパートナーの経営理念に魅力を感じ、2015年3月に同社に入社。同年11月に取締役社長に就任。「建設業をサポートする日本一の会社になる」という志のもと、年間2,000件を超える建設業保険の相談を受けるとともに、安全大会の講師も務める。得意分野は事故対応、事故対策、外装系など。趣味は映画、ランニング。
【当社は1985年創業の建設業専門保険代理店です!】
当社、株式会社保険ショップパートナーは1985年に創業し、
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